変更内容
・idct=5(IEEE1180 reference)を倍精度浮動小数点処理に戻した(より遅くなった)。
・idct=4として単精度浮動小数点処理のLLMアルゴリズムを実装(SSE2またはAVX2使用)
0.0.0においてはとりあえず64bit化を目標にしていたため、iDCT関連は3のみをintrinsicで書き換え、5は単精度浮動小数点処理として新規で書き直し、他は全部削除という少々寂しい感じでしたが、これで少しはましになったように感じます。
今回追加した単精度LLMは従来のidct=4(64bit floating point)の替わりになるものとして追加したつもりです(コード自体はDCTFilterで書いたものとほぼ同じ)。
品質は単精度のためほんのわずかに落ちますが、それでもほぼ最高品質と言っても問題はないですし、速度は向上しています。
そしてIEEE1180 referenceは単精度にしていたのをやめて倍精度に戻しましたので、出力も従来のものと完全に一致するようになりました。(ただし、一応SIMD化はしていますが、従来のIEEE1180 referenceよりも遅いです)。
ところでDGDecodeのidctはたくさんありますが、どれを使うべきなのかをちゃんとわかっている人って、現在だとどのくらいいるのでしょうか?
かつて、idct=5に丸め込みバグがあったころは「普通は6を除いた中で一番速いもの、とことん品質重視なら4」というのが答えでしたが、5のバグが直ってからは、よくわからないという人が増えてしまったのではないかと思ったのでついでに解説しておきたいと思います。
まず1、2、3の三つは使っているCPUの命令セット以外は同じなので、スピード以外はなにも変わりません。
7(simple MMX)は1、2、3よりも少しだけ質が良いですが、スピードを落としてまで選ぶほどのものかどうかは疑問があります。
6(skal)はスピードは3に並ぶほど速いですがIEEE1180 compliantではない(実用上はともかく、規格的にはダメな実装である)ため、3が使えるCPUでは選ぶ意義はまったくありません。
4と5は品質的にほぼ等価なので、もし品質をとことん重視したいならばより速い4を選ぶべきでしょう。
以上によりSSE2がまともになったmerom(core2duo)以降のCPUであれば、3か4のどちらか好きな方ということになります。
で、品質の違いを確認する方法なんですが、ググってみた限りではなぜか「これだ」と思えるようなわかりやすいものがみあたらなかったのでこれも解説します。
src = "xxxxxxxxx.d2v" #d2vであればなんでもよい ref = MPEG2Source(src, idct=5) #とりあえず最高品質とされる5 target = MPEG2Source(src, idct=4) #5と比較したいもの d0 = mt_lutxy(ref, target, "x y - abs 0 > 255 0 ?", chroma="process").SUbtitle("diff>0") d1 = mt_lutxy(ref, target, "x y - abs 1 > 255 0 ?", chroma="process").SUbtitle("diff>1") w = BlankClip(d0, width=4, color_yuv=$FFFFFF) StackVertical(StackHorizontal(ref, w, target), StackHorizontal(d0, w, d1))これでこんな感じの画像が得られるはずです。今回はffmpegでエンコードした640x480のmpeg2を使いました。
下半分の左側はidct=5と比較して出力が一致するサンプルは0、1でも違う場合は255に変換したもの、右側は出力が2以上違う場合のみ255で他は0に変換したものです。
自分的には出力の違いが1を超えない(右側は全て単色)で、かつ違いの出るピクセルの数が0.01%未満であれば最高品質と言っていいのではないかと思います。
出力1の違いを肉眼で判別できる人間はいませんし(もし出来るという人がいれば、それは実は人間ではないか、頭がおかしいか、ただの嘘つきのどれかです)、なにかしら軽くフィルタを一つかけるか非可逆圧縮でもしようものならば簡単に吹き飛んでしまいますので、違いなんてでようがないのです。
品質とコストの兼ね合いをどうするかは人類普遍のテーマです。
安易に遅い方が質が良いとか考えないよう注意してください。
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